小学生のお子さんがいらっしゃるみなさんは、お子さんの身の安全についてきちんと考えたことはありますか?警察庁の統計によると、平成28年の小学生の誘拐事件は未就学児と比べて発生件数が2.1倍も多いのです。
また、交通事故にあいやすい年齢のピークは7歳であるともいわれており、その件数は成人の2.5倍という結果でした。
今回は、登下校時に起こるトラブルの種類や登下校時に見守りをする際の注意ポイントをまとめてみました。小学校に通っているお子さんがいるかたや、最近近所で不審者の目撃談を聞いたというかたは必見です。これを読んで、お子さんの安全を守りましょう。
子供の登下校時にはどんな危険が潜んでいるの?
子供の登下校時には、交通事故のほかに誘拐やわいせつ行為などのトラブルが考えられます。この項目では、登下校時の危険について詳しくまとめてみました。
子供が一人になりやすい
同じく警察庁による平成30年の調査では、子供が被害者になった犯罪において複数で行動中の際に被害にあったのは33.2%、一人で行動中の際に被害にあったのは66.8%と、不審者は一人で行動する子供を狙う可能性が高いということがわかりました。
一人でなく誰かと一緒に帰るということもあるかと思いますが、お友達と家が離れている場合などはどうしても一人で帰ることになってしまいますよね。
登校時には集団登校をさせるという学校も多いものの、集団登校制度がない学校もあります。これは、班長や副班長を務める6年生の責任や負担が大きくなってしまい、万が一の事件が起こってしまった際に班長や副班長が責められてしまうことに対する懸念があるからです。
親が予想しないような場所に行く可能性がある
子供は、親の予想だにしない行動をするものです。危険な場所に行ってケガをするほか、寄り道せずにまっすぐ帰るように忠告しても、見知らぬ道や行ったことのない施設に足を運んでしまうケースも考えられます。
あるいは木々に囲まれている公園や誰もいなさそうな空き家など、人目につかない場所でなおかつ子供の好奇心を刺激する場所に行ってしまうおそれもあります。
子供の個人情報が筒抜けになる
子供が登校するとき、名札をつけて登校したり名前が書かれた持ち物を学校に持っていったりすることが多いですよね。しかし、名前も立派な個人情報です。不審者はこれらの個人情報を悪用して子供に近づきます。
実際に、名札や友達に呼ばれた名前から子供の名前を特定し、近づいて子供の名前を呼んで声をかけるというケースがあります。子供は自分の名前を呼ばれることで、自分のことを知っている人物だと錯覚して不審者に心を開いてしまうのです。
名前以外にも、子供同士の会話から子供が通っている学校や好きなもの、どんなお友達と仲がいいのかがわかってしまうこともあります。不審者はこれらの個人情報を駆使して「〇〇小学校まで案内させて」、「君の好きな〇〇の動画を見せてあげる」などと言葉巧みに子供たちを誘いうのです。
トラブルが発生しやすい時間帯や場所
「登下校時の見守りはたしかに必要だけど、具体的にどんな場所や時間帯に気をつければいいの?」とお悩みのかたに、以下に登下校時にトラブルが発生しやすい時間帯と場所をまとめました。
トラブルが発生しやすい時間帯
午後4時から午後6時の間、午後2時から午後4時の間は、児童の誘拐などのトラブルが発生しやすい時間帯であるといわれています。子供の学年によっても下校時間が大きく変わってくるので、時間割などを見て下校時間を確認しましょう。
トラブルが発生しやすい場所
トラブルの起きやすい場所は、交通事故か、誘拐・わいせつによるものかによって変わってきます。
・交通事故が起きやすい場所見通しの悪い交差点や曲がり角、大きな看板が立っている場所はとくに事故が起きやすいものです。車や自転車が急に飛び出してきて、はねられてしまうおそれがあります。
また、大きな看板が立っている場所は、看板が死角になり車や自転車が見えないことによる追突事故が考えられます。また、看板以外にも停車中の車やトラックが死角となる可能性も十分にあります。
・誘拐・わいせつ目的による犯罪が起きやすい場所誘拐・わいせつ目的など不審者による犯罪が起きやすい場所を一言でいうと、「誰もが入りやすいが見えにくい場所」です。不審者が子供に簡単に近づけてなおかつ逃げやすく、犯行を目撃されたり通報されたりしにくい場所がこれに該当します。
具体的な例を挙げると、高架下やビルの隙間などの狭くて死角になる場所や、河川敷・田んぼ・空き家・ビルの屋上など、そもそも人の目につかない場所などでトラブルが起きやすいと考えられます。
また、不特定多数の人が行きかう繁華街・商業施設・駅なども、注意が散漫になり他人の目がいきにくい場所です。さらに、落書きやゴミが放置されているような地域住民の周囲への関心が薄い場所も、子供が見て見ぬふりをされそうな場所であると考えられます。
登下校時に見守りをする際の注意ポイント
登下校時の見守りをする際には、注意すべきポイントがいくつかあります。このポイントを守ることによって、子供たちの安全をより確保することができるでしょう。子供を持つ親御さんだけでなく、見守りをしたい地域のかたもご参考ください。
できるだけ毎日続ける
毎日見守り活動をおこなうことによって、登下校する子供たちとコミュニケーションをとる機会が増え、信頼関係が築けます。それにより、登下校しない子供や様子がおかしい子供がいないかなど、子供の異変にいち早く気付くことができます。
ベスト・帽子・ジャンパー・たすきを着用する
見守り活動をおこなう際、ベスト・帽子・ジャンパー・たすきを着用することで近隣住民への啓発や不審者の排除につながります。また、これらを着用することで不審者によるなりすましを未然に防ぐことも可能です。
人目の付かないところを見守ろう
トラブルが発生しやすい時間帯や場所を説明した際にも述べましたが、犯罪や事故は人目の付きにくいところで行われます。見守り活動をするメンバーで話し合い、どこが人目につきにくいのかをチェックしたうえで見守りをおこないましょう。
危険だと感じたら、すぐ警察に連絡する
明らかに不審な人物を見かけたら、不用意に手だしすることはせずまずは警察に連絡しましょう。不審者が刃物などの危険物を持っているおそれがあるほか、こちらが下手に手出しをすると逆上するおそれがあります。
ただし、疑いすぎるのもよくありませんのでむやみに連絡することは控えましょう。
パトロールの実施や警備員の配置をしてみよう
登下校時の見守り以外にも、パトロールを実施してみてはいかがでしょうか?通学路や地域内を巡回することで、危険な場所を把握・点検したり地域住民への声かけをしたりすることができます。
海外では、パトロールは犯罪発生の減少と犯罪不安の緩和に効果があると立証されたケースもあります。また、警備保障会社によっては、子供を見守るためのパトロールを実施しているところもありますよ。
まとめ
子供を狙う犯罪は突発的なものもありますが、犯行現場を入念に下見して及ぶ場合もあります。また、女の子だけでなく男の子を狙う犯罪も多く、服装などは関係なく誰もが被害者になりえます。
また、子供に不審者を見かけたら大声を出す、逃げるなどと指導しても、実際に被害にあった子供は怖がってしまい何もできなかったと証言するケースもあります。
ですが、子供を見守るという行為は何も難しい行為ではありません。登下校の時間にあわせ、ガーデニングの水やりや犬の散歩をしながら子供に声をかける「ながら見守り」などもあります。
登下校時の見守りを見直して実施し、保護者としての立場からも周辺住民としての立場からも、大切な地域児童を守りましょう。