ショッピングモールや病院、イベント会場など、さまざまな場所で警備員を見かけます。警備員は、私たちにとって身近な存在です。警備員がおこなう業務には、交通誘導から巡回警備、現金輸送車の警備など幅広くあります。
映画に出てくるボディガードも警備員の業務のひとつです。警備業務を依頼することで私たちは、何を得ることができるのでしょうか?このコラムでは、警備業務と警備の種類、さらには防犯効果についてご紹介していきます。
目次
警備業務や種類はどんなものがあるの?警備の4つの分類
警備業務には、警備業法という法律があります。この法律によって、警備内容が1号業務から4号業務まで4つにわけられています。それぞれの業務の特徴についてご紹介します。
1.施設業務
警備会社と契約している企業での警備です。契約先には、ショッピングモールやデパート、大学や大きな病院などがあります。また、空港や大きな駅などの公共機関と契約している場合もあります。
業務内容は、犯罪防止が主な仕事です。施設内に不審者がいないか確認しながら、決められたルートを巡回します。そのほかにも施設の出入り口や職員用通路での受付、営業時間後の店舗の施錠管理や夜間の巡回などがあります。
ときには、駐車場での誘導をおこなうこともあります。施設業務に就く前には、研修をうけなくてはなりません。そのため施設業務をおこなう警備員は、短期契約ではなく、長期契約となる場合が多くあります。
2.雑踏警備
イベントの際、人が多く込み合うため人や車の事故防止をおこなう警備です。たとえば、アーティストのコンサートや花火大会など多くの人が集まる場所において人員整理や誘導などをおこないます。
3.輸送警備
銀行やショッピングモール、デパートなどの売上金を輸送するときに盗難されないように警備をおこないます。現金だけでなく、美術館などに運ぶ高額な美術品を輸送の際も警備をおこないます。
輸送警備は施設警備や雑踏警備と比べると、強盗などに襲われるといった危険な目にあう可能性があります。また、輸送するものが高額であることから、輸送の際に使用する車も特殊な車両の場合が多い傾向です。警備員は特殊な輸送車両を運転する技術も必要になります。
また、現金や高額な商品の警備をするため、大きなプレッシャーを感じるでしょう。輸送警備に適しているのは、体力だけでなく、強いメンタルの持ち主であることが重要となります。
4.身辺警備
身辺警備というよりもボディガードといったほうがわかりやすいかもしれません。政治家や国賓といった要人が危害をうけないように警護します。
主な業務内容は2種類あります。常に要人の近くにいて警護する身辺警備と、要人が飛行機などの交通機関を使って移動する際に、離れた距離から警護する身辺警備です。
単に警護するだけでなく、要人を狙っている団体の有無やそれにかかわる情報についても知っておかなくてはなりません。また、海外に移動する場合は、出先の国の政治状況や地理についても詳しくなっておかなければなりません。
警備業務や種類別!警備を導入する効果はあるの?
警備員の導入には、どんな効果があるのでしょうか。警備業務ごとにご紹介します。
施設への不審者の侵入を防止できる
警備員が施設内を巡回することで、不審者や不審物を発見することができます。また、定期的におこなう巡回は「見せる警備」といわれています。
この見せる警備をおこなうことは、不審者の犯行をやりづらくさせます。犯罪を起こすことを断念させることにもつながるでしょう。また、夜間の巡回をすることで、無人となる工場や倉庫への侵入を防ぐことができます。
商業施設においては、警備員が窃盗の起きにくい陳列方法についてアドバイスすることにより、軽犯罪を減らすことができます。
イベントや工事現場の事故を防止できる
イベントなどの雑踏では、人が多く集まるため横断歩道以外の場所での横断や、赤信号で無理に横断しようとする人も多くなります。
警備員がおこなう交通誘導によって人の流れが整理されるため、事故の発生を減らすことができるでしょう。また、イベント会場などでも警備員が巡回することで犯罪抑止力があり、発生率が低下するといった傾向がみられます。
貴重品の輸送を安全に遂行できる
貴重品輸送を警護するのも警備員の仕事のひとつです。対象となるのは、次のようなものです。
- ・現金…銀行間を輸送する現金やお店の売上金、有価証券など
- ・美術品…価値のある美術品や貴金属など
- ・機密情報…入学試験問題や答案、医薬品などの開発データなど
- ・個人情報…保険証やクレジットカード、マイナンバーカードなど
これらの貴重品は、盗難や強奪をされる可能性が高く、一般の人が輸送するのは危険です。事件や事故に巻き込まれないためにも、警備会社に依頼するほうが賢明でしょう。
また、日本には警備業法という法律があります。この法律によって、貴重品の輸送をおこなう場合、輸送車両ごとに貴重品運搬警備業務検定の資格をもつ人を1名配備すると決められています。それくらい貴重品輸送は、警戒が必要なのです。
警備会社に依頼すると貴重品運搬警備業の有資格者が配備されるだけでなく、ほかの警備員も厳しいルールに基づいて輸送をおこないます。安心して任せることができるでしょう。
ボディーガードに警護してもらえる
ボディガードにおこなってもらうことができるのは、「先着警備」「同行警備」です。先着警備の場合は、目的地に警護を必要とする要人よりも先に到着し、危険物がないか、不審者がいないかを確認します。
また要人が歩く経路について確認したり、車などが停車する位置の状況などまで細かに調整をおこないます。同行警備は要人に同行し、不審者に襲われたりしないように警備をおこないます。
しかし、最近では要人の警護だけではありません。ストーカー被害に悩む人や過剰なクレーマなどから依頼者を守ることもあります。このほかの業務として、ひとり暮らしの高齢者宅へ安否確認のための訪問などもおこなっています。
警備業務の基本は「トラブルを未然に防止する」こと
警備員は、警察機関ではありません。そのため犯人を逮捕することはできません。警備員ができることは、「トラブルを未然に防ぐこと」なのです。
たとえば、ショッピングセンターでの警備業務であれば、盗難や万引きが起こらないように巡回をします。そのための陳列方法をアドバイスすることもあります。また、警備員の存在そのものが犯罪を起こそうとする「犯罪者心理」に影響します。
警備員の存在そのものが、犯罪発生率を低下させるといったメリットもあります。また、緊急時には、警備員がいることで被害を最小限に抑えることもできます。
防犯や防災対策するなら早めがいい!
警備員の存在が、事件や事故の発生率低下につながります。この事実はイベントの主催者や施設の管理者が、警備会社に警備を依頼する大きな理由です。
しかし、どんな警備会社でもいいということではありません。なぜなら、どの警備業務においても扱うのは大切なものばかりです。そのため、信頼できる警備会社を選ぶことが重要です。
警備会社を選ぶときには、まずは1号から4号までのどの業務を依頼するかと明確にします。また、多くある警備会社の中から選ぶ要素としては、次のようなポイントがあります。
- ・依頼する業務について経験が豊富であるか
- ・契約内容が明瞭であるか
- ・お客様満足度が高いか
今までは、警備員がいなくてもさほど問題がなかったとしても、何か起きてしまってからでは手遅れです。安心と安全のためにも警備会社への依頼を考えてみてはいかがでしょうか。
まとめ
警備業務には、1号業務から4号業務まであります。1号業務はショッピングセンターや大学、病院などの施設を巡回し、警備する施設警備です。警備員がいることで不審者や不審物を発見したり、盗難や万引きなどの犯罪を防いだりすることができます。
2号業務は、イベント会場など人が多く集まる場所で誘導をおこなう雑踏警備です。3号業務は、現金や貴金属など高価なものを輸送する際の輸送警護。4号業務は、要人などを警護する身辺警護です。4号警備をおこなう警備員は、とくに神経を使う業務でもあります。
警備員の存在そのものが、犯罪心理に影響するため、発生を未然に防ぐことが期待できます。警備員の配置は、防犯対策に大きな効果があります。経験があるか、契約内容がわかりやすいか、クチコミがいいかということを参考に選んでみましょう。