車社会の現代では、さまざまな場所で車による事故や混乱が発生しています。それは小さいものばかりではありません。ときには少しの混乱から、大事故につながることもあるのです。
とくにイベントや商業施設などの責任者は、利用者の笑顔と安全を守るため、駐車場での車による事故を少しでも減らしたいと思っているのではないでしょうか。交通誘導警備員の設置を検討している方も多いかもしれませんね。
しかし交通誘導警備員の仕事内容というのは、実際のところあまり知られていません。「どういう仕事をしてくれるのかがわからない」という理由で、なかなか派遣を依頼できないという方もいるでしょう。
そこでこのコラムでは、「どんなときに交通誘導警備員が必要となってくるのか」また、「交通誘導警備員が心がけていることにはどんなものがあるのか」について解説していきます。交通誘導警備員の派遣依頼を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
交通誘導警備員はどんな場所に派遣できるの?
交通誘導警備員とは、道路や駐車場、施設や店舗、ライブ会場やイベント会場などで、通行者や来場者の安全を守るために誘導や交通警備、整備をおこなう仕事です。警備会社に依頼することによって、以下のような場所に派遣してもらうことができます。
工事現場
工事現場には交通誘導警備員の配置が必要です。主に、以下の4つの工事が挙げられます。
- 道路の舗装や排水溝など、車両や歩行者が利用している道路を規制した状態でおこなう工事
- 土砂を運搬する際に、交通量の多い道路に出入りする工事
- 建設機械の誘導などにより、交通指導警備員が必要な工事
- 道路管理者や所轄警察署からの指示により、交通指導警備員が必要な工事
イベント会場
イベント会場に派遣された警備員は、ライブやコンサート、花火大会などへの来場者を、安全確保のために誘導します。大勢の人がごった返すイベント会場では、将棋倒しが起こるおそれもあり、非常に危険です。
そのため、警備員は会場の混雑状況をしっかりと把握し、多くの人に行き届くよう大きな声で来場者への的確な指示をおこないます。また、迷子や体調不良の人がいないかを常に確認し、見つけた場合は迅速な対応をおこなっているのです。
そして、さまざまな人が集まるイベント会場では、ときに不審者が紛れ込んでいる可能性もあります。そのようなとき警備員は、イベントの主催者や警察に報告するとともに、回りにいる来場者に危害を加えないよう、細心の注意をはらいながら不審者の監視をおこないます。
店舗や施設の駐車場
店舗や施設の駐車場に警備員を配置すると、混雑によるトラブルを防ぐことができます。また、事故や事件につながる些細な異変をいち早く察知し、重大事故・事件のリスクを減らすことが可能です。
駐車場では、車上荒らしやひったくりなどの事件、ショッピングカートの放置などによる事故などが起こりやすいものです。
また、夏季にはエンジンを切った状態で車内に乳児や幼児を置き去りによる死亡事故が発生してしまうこともあります。駐車場に警備員を配置することで、こうした事件・事故は未然に防ぐことができるでしょう。
店舗や施設の利用者の安全を守り、快適でスムーズな駐車場にするということは責任者にとってとても大切なことです。そういった環境作りに取り組むことで、売り上げにもつながっていくのではないでしょうか。
交通誘導警備員を配置する必要性
交通誘導警備員は、主に工事現場や駐車場、イベント会場で警備や誘導をしています。交通誘導警備員を配置することにより、さまざまな問題が起こるのを未然に防ぎ、来客者の安全を守ることが可能です。
道路工事中は安全確保のために交通誘導が必要
特殊な重機や大型トラックの出入りが頻繁におこなわれる工事現場は、常に危険と隣り合わせです。作業員はもちろんのこと、工事現場の近隣を通る人々や車両なども、事故に巻き込まれる危険性があります。
それらの危険要因から作業員や歩行者、運転手を守るためには、交通の警備をおこなうことが重要です。
例えば歩行者が工事現場の近くを通るとき、交通誘導警備員は工事の状況を確認し、事故が起こらないよう、適切なタイミングで歩行者を誘導したりしているのです。
イベント会場の駐車場や周辺では混雑を回避するために必要
イベント会場は、規模にもよりますが、混雑することが多いでしょう。そこで大切になってくるのが駐車場や周辺の交通警備です。
イベント自体は盛り上がったとしても、駐車場の利用や会場への来場・退場の際に事故や混乱が起きていたら、来場者の気分は害されてしまいます。これでは、イベントが成功したとはいえません。
イベント会場での交通警備はイベントを成功させるうえでとても重要なことです。会場周辺に交通誘導警備員を配置し、警備不十分による事故や混乱を未然に防ぎ、来客者が「また来たい!」と思えるようなイベントにしましょう。
店舗や施設では駐車場や出入口での事故防止に必要
店舗や施設であってはならないのが、駐車場での事故です。駐車場は狭い空間に車も人も行きかうため、非常に事故の起こりやすい場所といっても過言ではありません。
実際に、駐車場での事故により死傷者が出ることもあります。そういった不慮の事故を防ぐためにも警備員を配置することは大切なのです。
また、警備員を配置することにより来客者がスムーズに駐車できます。駐車する場所が見つからなくて、グルグルと駐車場内を長時間さまようこともなくなるでしょう。せっかく来てくださったお客様に不快な思いをさせないように、駐車場の交通整理はとても重要なのです。
高速道路の作業はとくに安全確保が必要
高速道路の制限速度は、最高速度100km/h、最低速度50km/hと設定されています。そして最低速度50km/hで衝突したときの致死率は80%と、非常に高くなっています。
最低速度の50km/hでこれだけ致死率が高いとなると、これ以上の速度を出して事故が起こった場合ほぼ即死と考えてよいでしょう。
高速道路の点検や清掃作業などをおこなっている作業員は常にこうした危険にさらされています。作業員たちの命を守るためにも、交通警備員を配置することは非常に重要なことなのです。
危険が多い高速道路の誘導もできる交通誘導警備業務2級とは?
あまり知られていませんが、交通誘導警備業務2級という国家資格があります。一部の交通誘導警備員はこの資格を保有しており、警備に関する知識にたけています。
高い技術を認定された「2級資格保持者」
交通誘導警備業務2級は、とくに条件なく試験を受けることが可能です。一般社団法人警備員特別講習事業センターのデータによると、合格率は約6割と決して高くない数字です。
また、試験の合格ラインは90点と高く設定されています。このことから、合格者には優秀な方が多いと考えられるでしょう。
交通誘導警備業務2級に合格すると、交通量の多い道路や高速道路での交通警備をすることが可能となり、国道でも誘導ができるようになります。2級資格保持者は、交通警備において必要な存在です。
状況にあわせて交通誘導警備員を派遣しよう
交通誘導警備員の派遣は、派遣場所の状況をよく確認したうえでおこないましょう。道路や歩道をふさぐ工事、混雑の予想されるイベントやライブ会場、出入りの激しい駐車場など、さまざまな現場の環境から、派遣してもらう人数を考えることが大切です。
また、自治体が指定した路線で警備業者が交通誘導をおこなう際は、1級もしくは2級の交通誘導警備業務認定の合格者を、必ず1人以上配置しなければなりません。派遣会社に警備員の派遣を依頼するときは、その旨もしっかりと伝えるようにしましょう。
まとめ
交通誘導警備員は、イベントやライブ会場、店舗や施設などに訪れる人々の安全を守る仕事です。訪問客や通行人が快適に過ごせるように、現場の事故や混乱を未然に防ぐ役割を担っています。
交通誘導警備員を派遣してもらうことで、工事現場で働いている作業員や、周辺を通る歩行者や車両などに危険が及ばないよう、正しい誘導をおこなってくれるでしょう。
交通誘導警備員の派遣を検討している方は、派遣場所の状況や環境をしっかりと把握し、多方面から起こりうる全てのことをイメージしてください。どこにどれだけの警備員を配置するのかを考えることが重要です。